夜明けまで3時間

独り言ごちゃまぜボックス

宇宙の果てまで行けるかなあ

はい。
というわけで、宝石の国なるとんでもないアニメがひとまず終わってしまったので、これを機会に漫画の宝石の国について語りたいだけ語ろうと思います。いつにも増して需要がなさそうな記事である。でもね、このブログは目的が供給だから。供給のための供給だから。

 

これ8巻までのネタバレぎゃんぎゃん流れてくので、ご了承くだされ。本誌は追えておりません。

 

うん、じゃあ順々に。
まずね。ゴーストクォーツとの出会い。これは外せない。と言いつつ、この辺友達の家でお喋りしながら読んでたので実はゴーストクォーツ自身の記憶はあんまりない。ごめんなさいゴーストさん。いや、出てきたタイミングが微妙だったのよ。なんせシンシャが「組むだけなら 別に……」なんて言うじゃない!? だから短絡的な私は「きゃ〜〜組むのかな〜〜ようやく付き合えるねっ❤︎(バカ恋愛脳)」なんて思っちゃってたもんだから、ゴーストさんのことは「なんだこの間子ちゃんは! フォスはシンシャと組まなきゃいけないってのに!」とか色々考えてるうちに……剥がれて、しまって……。
あとね、私読み進めるにあたって、ここで重大なミスを犯していて。フォスシンを貪欲に求めながら4巻を読んで次5巻を手に取るはずが何故か6巻を開いてしまったのだ。したらね、最初ってキャラ紹介のページじゃないですか。あの紹介文めっちゃツボ。じゃなくて。そこにゴーストさんじゃなくてなんか白い服の人がいて。えっア……カンゴーム??? 誰? てなってキャラ紹介のところに「ゴーストの時から本が好き。」
…………あ、そういえばゴーストって多層構造だったよネ……え? ゴーストっていなくなるの? あっ巻数間違えとる! というちょっとアレなところからカンゴームを知っちゃってて。
だからゴーストを知り切る前にカンゴームをチラ見してしまってたというか……うーん……ね……だからゴーストさんのことは……すみません自分でちゃんと買っておさらいしますね…ゆるして……という感じ。
でまぁゴーストとは壮絶な別れをしてしまうのだが、まーーゴーストの特異体質はマジで、はぁ〜。市川さんキャラメイク巧すぎる、としか言いようがない。

ゴーストクォーツの内側にいて、基本的には外に出ることを許されなくて。透明なゴーストに疎ましく思われながら彼を透かして外を、かつていたラピスラズリを、そして今のパートナーのフォスを見つめていた黒水晶。カンゴーム。カンゴームという名前は彼1人になってから、フォスの頼みで先生につけてもらった。
白粉を塗った彼は、残酷なくらいアンタークチサイトに似ている。
でもあれなんで髪も白くなっちゃったんだろうね? 爪は黒いんだけどね。髪にも白粉を塗ったの? それとも、髪の部分にだけゴーストの白っぽい水晶が残ったのかな。

 

何しか、彼がのちに私のハートを持っていくのである。
とにかくこいつずるいからもう。ほんと。
まず生れながらにして外界と直に関わり合うことが出来ないって何よ。しんどすぎるでしょ。別人格が体を動かしてて、自分は個の人格を持ってながらそれに従っている。
どんな気分だろう。
もちろん生れながらってのがポイントで、ゴーストは一緒にいるのが当然だったろうけど。でもどれだけ好きでも互いにストレスだわなぁ。まぁゴーストのカンゴームに対する好意<カンゴームのゴーストに対する好意って感じ微妙にあるけど。何でだろ。って考えた時に、カンゴームって実は絶対謙虚なタチだと思うんだよな。本質的に。時々勝手に動くけど。
だってそうじゃないと、何が何でも主導権握りたがるタイプだったらゴーストはあんなにゴーストでいられなかったよ。
いやね、フォスに怒ってた時は言うこと聞け! て感じだったけども。絆が出来てからは基本的にフォス優位ですからね。ラピス・ラズリの頭もあげちゃうし、月に来てよって言われたら行っちゃうし。
好きになっちゃった子の言うことは基本聞いちゃうタイプだと思う。身を尽くしタイプ。

カンゴームでもうめちゃくちゃ好きなシーンがまぁ2桁個くらいあるんだけど、感動的なので代表的なのが2つ。
フォスがゴーストをなくして滅入っててちょっとおかしくなっちゃった時の言葉。「どうしても辛い時は アンタークでもゴーストでも好きに呼べ」
これめっちゃ怒ってて手厳しかった時なんですけどね。狂ってもゴーストは帰ってこない。とか投げつけて厳し〜……って思った矢先にね。フォスがあんまり殊勝なもんだから。こんなことを言うのお前は。
結局優しい子だから……飴と鞭だよこんなの。多分こんなことを言えちゃうのも、ゴーストと一緒に持ってた優しさとか、表に出れなかった過去に由来して……ウッ。

 

あと。フォスが頭持ってかれてしまった後。いやーーこれはガチで衝撃的だった。主人公の顔、変わるん!!? てなる。もはやそれはフォスでは……な……、ない……のでは……。この時も本当に誇張表現なく頭を抱えましたな。
頭を接合した後、フォスは眠りに就く。死んだみたいに布を掛けられて、外は冬の景色になる。
どれくらい経ったんだろうなって思った矢先に冬眠の枕投げの風景、そのとばっちりが白い服を着た宝石に行く。枕を顔からとって怒るのはカンゴーム
「俺だけこれから働くんだぞ」
あええええカンゴーームその格好はあかーーん ごーむ

 

ちょっもうっえっ……あかん…
私はこういう対照的・反復的? 踏襲的? なのに弱い。

 

そしてカンゴームは、横たわるフォスの前に立ち、自分がこの服装になった言い訳みたいなことを口にして、そして、
「俺が冬の担当になって今年で百年だ」

 

このページ三回読み返して三回泣いた。

どこに泣いたのかは分からない。思い当たる節が多すぎる気もするし、そんなの1つもない気もする。
強いて挙げるならやっぱり百年という一言の重みかなぁ。さらにカンゴームは「また夜にな」と言う。毎朝毎晩来てるのかよ……いじらしい……ここでカンゴームとフォスの絆があまりにも深まっていたことが分かる。まぁそりゃ、ラピスの頭だからってのもあるだろうけど。それだけじゃないと思うんだよな。

 

色々あるけどね! もうたくさんある! フォスが窮地に陥りかけてやばかった時「あー思い出したあいついつもああいう、あーもうやだやだやだやだ」とか言ってばたーんて倒れちゃったり、夏眠用寝巻きで延々レッドベリルに遊ばれたり、もちろん口調も悪ガキっぽさというか今時のちょいナイーブな小学校高学年男子って感じがいい。

漫画のカンゴームも大好きだけど、早くカラフルで動いてて喋ってるカンゴームが観たいなぁ。悠木碧さんがいいなぁ!(しつこい) ゴーストと声は一緒かなぁ。一緒じゃないと微妙なシーンもあるし、一緒だと微妙なシーンもあるように思うな。


いかん。カンゴームだけで話が終わりそうだ。

 

メインストーリーがとんでもないことになっている。

やっぱストーリーの方での重大事件は
・フォス、頭部変更
・フォス、月へ行く
・フォス、先生の正体を知る、からの裏切り
この三点ですね〜! ジャンケンポン!

 

全然関係なくて笑ってしまうのだけど、私台本を書いていて。そこに「博士」と「アンドロイド」が出てくるんだけど。
あ、ちょっと関係なくなくなって来ましたね。
そう、ちょうど宝石の国書いてる時にリメイクを書いていてですね。まずこっちの博士と
宝石の先生が個人的にめっちゃ頭んなかで被っちゃって、「博士」って書くところを「先生」って書いちゃって。腕折れたジェードの「アーッ!!」て感じ。もう終わりだと思ったね。
いや、本筋はもう宝石の8巻なんか出るだいぶ前ってか一年以上前に書いてたから何とかなったんだけど。
しかもそこに宝石の国にも博士出てくるじゃない、一瞬だけど。ああああーって。もうああああーって。

しかも先生……あんたがアンドロイドだったのかよ……と……。どんだけええええ

 

まぁ、本当に、8巻を読んだ時の私の脳内はもうアニメ版の月人が乗ってる雲みたいな色合いで、涅槃寂静……て感じであった。

 

先生、ね〜。最初の違和感はやっぱり、先生が見た夢だった。
月人の動きはまるで、先生に救いを求めるようだなって思って、でもそれは間違いじゃなかったんだね。先生が「危ない」って言ってたのも気になるなぁ。

 

私はやっぱり先生を悪い人だとは思わないけど、月人サイドの事情が事情なんだよなぁ。
エクメアはどうしてもやはり憎みきれないし、セミは普通にいい奴だし……戦闘モードな見た目になったのにフォスをぎゅってして目うるうるさせるの反則だぜ……。

 

先生はどうして祈るのをやめてしまったんだろう。
故障、というけれど、絶対感情的な理由もあるんだと思う。
カンゴームが先生とは関係のないところで言う「祈り飽きた」という台詞が先生のシーンに被っていて、それは先生の機能にあまりにも類しているように思うし。
しかし……祈る機械ねぇ……いよいよ市川さんの脳みそを見させていただきたくなってくる。こんないちいち宝物じみた発想一体どうやって分泌してるんだ?
でも、飽きただけじゃあれだけのことされてまで拒む理由がない。「危ない」という台詞から推測するに、先生は人のために祈るという行為に関する何かしらを、許せない、んじゃないだろうかと思う。

 

まぁでも純粋に故障っぽさもあるんだよな……月から帰ってきたフォスが質問ぜめにした時の反応とか。でも自分に関することが言えない機能にも関わってる気がするし。

 

魂である月人の「無になりたい」という声は、なるほど人間の最終欲求かもなと思った。
今の私はもちろん、無になんかなりたくない。死にたくないし、まだ長いこと生きていたい。不老不死になりたいとすら思うかも。
でも、それが何百年、何千年と続いたらどうだろう。
疲れるだろうな。


先生が祈り飽きたのと同じように、月人たちも生き飽きてしまったんだろう。
だとしたって宝石攫うはまぁいいにしても粉砕して混ぜ合わせて月面に撒き散らすことないだろ!! そんな残酷だから祈ってくれる人もいないのよ!

 

無になる為には他者の祈りが必要。これもまた矛盾しているようで、理にかなっているような感じがするのが憎い。無になったら人との関わりなんて関係ないのにね。関係なくなる為に関係が必要だなんて、皮肉だね。でも納得出来てしまう気がするのは、やっぱりずっと長いこと続いてきた宗教的な考えがそれだけ偉大ってことなんだろうか。

 

なんかねー、最初は地球で宝石のキラキラを眺めていたと思ったらあれよあれよと月、そして宇宙規模、死の世界にまで話が及んでしまって。バーチャルリアリティで宇宙を旅して見ましょうで呆気に取られる感覚に似てる。はい地球を出発しました、〜これが銀河系です、はい銀河系も出ましょう、〜これが宇宙の果てです、みたいな。

 

私そんなに漫画読んでない方だと思うんだけど、ほんとにこの読書体験は鮮烈すぎたよ。

 

元は同じ人間で、その魂は見放しておきながら骨は大切にする、でも骨が傷つけられても頑として動きはしない先生の本音が今は気になって仕方ない。あと別れたフォスシンな……。実は起きてたアメシストの片割れも気になるし。てかパパラチアなんで攫ってきたーッ! じゃあルチルもちゃんと説得してつれてこんかいな! 9巻の頭でルチルが「すみません、支度に手間取ってしまって……」て慌ててやって来るのを願うしかないわ。あ、でも医者が抜けたら困るね……。
というか。フォスも危ういよな。先生裏切るって……それ残酷すぎて普通思いつかんぜ。肝心なことを忘れているよ。先生は確かにフォスたちを愛していたということ。違う生き物だからってそこは切り捨てるべきではない。まーーこれもどこまでフォスでどっからラピスなのかっつー話にね、なってくるよなぁ……。

まぁそれはフォスが欠ける毎の懸案事項ですけど、シンシャへの執着が残ってることで、あっフォスはまだフォスだな、って分かるよね。フォスシンに関しては途中から生きる理由が半分近くもしくはそれ以上が互いに依存してるからな……。

何にせよ、お前人情忘れすぎ! てシンシャにピシッと喝入れられて欲しい……。
でね! 他者からの祈りってんなら、機械ですらOKなんだから宝石でもいいんじゃないの!? 僕たちが先生を説得して、先生と一緒に祈ります! 無にしてあげるぜ安心しな! そして和平な! という訳には、いかんの!?

 

あー、もうホント、ジェットコースターの落ちる直前が延々と続いてる気分。頼むからはよ続刊出て……もうはよ終わって……精神に安寧をもたらして……。
私、面白すぎる漫画は早く終わって欲しいタイプの人間なんだなと思いました。気になって命が保たないから。

 

というわけで、漫画を読んだ私が宝石の国にジャンルっぽい名前をつけるなら「ニルヴァーナファンタジー」です! ニルヴァーナって、涅槃ね。極楽浄土……っていうと違うのか? 魂が得る本当の安寧? そういうのだったっけ。いかん、勉強しよ……。

 

あー。
私、死んだら宇宙に行けるかな。
無になれるかな。
祈るってことは、忘れないことだと思う。その人がいなくなっても、覚えていてくれる人がいる。その人がいたということがちゃんとした過去になる。そのことが確かになって初めて、安心して無になれるんだろうな。

 

いなくなってしまった人のことを、私はちゃんと祈っていよう。覚えていよう。私は機械じゃないからいつか腐ってなくなるけれど、せめてその日まで。