夜明けまで3時間

独り言ごちゃまぜボックス

めちゃくちゃ召喚サークルまで歩くのが遅いエドモン・ダンテスの話

エドモンミリしら二次創作です エドモン&エドモン中々呼べないすべてのマスター(詳しい事情とかは自分のに寄せている))

 

 ふと。名前を呼ばれた。

 何とも情けない声だ。耳を澄まさなければ聴こえないような。

 エドモンに来てほしい、とその声は訴えていた。

 ある時聴こえたそれを皮切りに、頻りにオレの耳には同じ声が届いた。

 クク、ハハ、クハハハハ。面白い。数いる英霊の中でもさしたる力のないオレを、好き好んで。

 暗闇の中での退屈しのぎにはなるだろう。

 

 それから半年が経った。声は未だ止まない。どころかより頻繁に、強くなってさえいるほどだった。

 何故ここまでオレを求める、共犯者よ。ン? いや、よく見ると共犯者ではないな。は? 監獄塔未プレイ? 復刻終わってから始めたから? ……マジで何故?

 ……ほう。サポートで借りて一目惚れしたと。

 

 浅。

 

 いや、浅いな!! 一人だけ後ろ向きで闘うのがいいだと!? なんだ馬鹿にしているのか!

 きょうはんしゃ……いやもうお前でいい。お前なぞお前でいい。

 何にせよ、お前は変な人間だ。素性もロクに知らぬ、ただ見た目と雰囲気のみで気に入ったサーヴァントにこうも焦れ込むとは。

 だが、いいだろう。小さく弱き人間よ。ともあれお前の声はオレに届いたのだ。それはもううるさいほどに。

 幸い、じきに召喚サークルがオレを通すべく暫し開かれる。お前のサークルへオレは歩んでいこう。そうも呼ばれ続けて応じぬオレではない。

 待て、しかして希望せよ! 凡庸で弱き人間よ!

 

 ……さて。

 あれから幾日か過ぎた。

 オレはまだあの人間のカルデアへと至ってはいない。

 オレのための門が開かれるまでに何度か他の

英霊を呼ぶそぶりは見せたものの、開かれてからこの方あの人間は、必死の形相で召喚サークルをオレ一人のために回している。

 しかし、オレは奴の前に姿を現さない。

 皐月の王が召喚に応じた。賢王も応じた。一見傍若無人に見えて、賢王はわりに情に厚いのである。たとえ(お前じゃない……)などとあるまじき反応を召喚者に見せられたとしても。

 もう百回の召喚が成された。しかしオレは応じない。

 何故応じないのか。

 理由は簡単だ。

 応じられないのである。

 では何故応じられないのか。

 これも簡単な答えで済む。決して難解な心理状態などに由来している訳ではない。

 

 

 遠い。

 

 

 そう、遠いのである。何を隠そう、オレのいたところから奴の召喚サークルまでが、異様に遠いのである。虚数も関わる場なので距離は絶対的なものではないのだが、何だかよく分からんがとりあえず確かな実感として、遠い。

 そしてもうひとつ、これは正直認めたくないことなのだが、

 

 

 オレの足は遅い。

 

 

 何だか全く分からんが遅いのである。速く走れるという「自動車」の一つと名を同じくするメルセデスと恋人であったとは思えぬ鈍足である。

 クイックサーヴァントなのに何故か?

 オレが! 知りたい!

 誓って言うが、オレは努めて急いでいるのである。オレを呼ぶ声も少なからず焦りと怒りを孕み始めている。何を隠そうオレに残された時間は少ないのだ。門は限られた時間しか開かれてはいない。

 しかし、残りの道のりもこれまた果てしなく遠い。何らかのきっかけで一瞬にしてショートカット出来るはずだが、残念ながらそのきっかけとは「運」なのである。もはや誰にも関わることの叶わぬ領域だ。

 既に多くのカルデアに他のオレが召喚されている。もう奴らスルンスルンと召喚されている。何故だ。あまりにも理不尽だ。理不尽に慣れているオレではあるが、それでも耐えがたいほどの理不尽だ。

 

 単発? 単発がダメなの?

 コーヒー飲めばいけるの!?

 

 何やらぶつくさと議論している声が聞こえるな……。単発でも10連でも最高レアサーヴァントの排出率は変わらんとお前のなかで結論が出ていただろう。

 コーヒーか……確かに、オレも今は歩き続けて随分疲れているからな。その芳しい臭いがあれば、いくらかは……おい! やってみるわ~とか言いながらコーヒーがない状態でしれっと2回も回すな! オレはまだここ(遠い)だ!

 

 一体、いつこの長い旅は終わるのだろう。オレがたどり着くのが先か、奴の石が、意思が尽きるのが先か、はたまた召喚サークルへの門が閉じるのが先か……。

 

 足がガクガクと震える。もうどれくらい歩いたのだろう。このような仮初めの体とて疲れは感じる。限界はある。

 百回だ。百回の召喚に、オレは一度も応じられなかったのだ。

 絶望の二文字が頭に過る。オレが何度も味わい、そして相反する言葉で歯向かおうとしている、二文字が。

 

 諦めないよ、と声がした。

 

 フリクエもストーリーも回れるだけ回って、石を集めて、呼び続ける。だから、ゆっくりでいいよ。まだ、時間はある。

 

 それまで耳にしていた奴のものとは思えない、確かな強い意思の籠った声だった。

 そこには、希望が、あった。

 こんな、ロクでもない状況で。いくらの石も手元にない無力な人間は、未だ希望を捨てていない。

 オレは奴に言ったのだ。

 待て、しかして希望せよ、と。

 

 クーー

 クハハハハ!

 何と愚かなのだ、お前は!

 しかして、より愚かなのはこのオレだ。お前よりも先に絶望しようなどと! 他ならぬお前が、希望に燃えているというのに!

 

 ならば、人間よ。オレはまた言おう。

 待て。しかして希望せよ!

 

 

 

 

 

 

 もう、足は動かない。

 

 しかし、たどり着いた。辛うじて持ち上がるこの腕を伸ばせば、召喚サークルに指先が届く。そうすれば、奴との契約は成立する。

 ようやくここまで来たぞ、オレを呼ぶという人間よ。

 どれくらいの時が経ったのかは分からん。ともすれば一度門は閉じたのかも知れない。だとすれば、あれからあの人間はまた半年か、一年か、それよりもっと長い間か、待ったのだろう。

 けれども今門は開いていて、オレはその前に立っている。

 いい加減来てよ、巌窟王エドモン・ダンテス。

 疲れた声で、呆れた声で、何より怒った声で奴はオレを呼ぶ。

 耐えがたい時間だったろう。いい年をしてオレが来ないことで落ち込んだり、放心状態になっていたのを識っている。

 

 オレは腕を伸ばした。

 指先が、夢にまで見た召喚サークルの縁に触れる。環が虹色に染まった。オレのような者にでも、そのような色に輝いてくれるらしい。

 

 奴の顔が見えた。信じられないように目を見開いている。本当に、何の特徴もない凡庸な顔だ。オレにはそう思える。

 けれども、同時にひどく満たされた気持ちになった。

 何故だかわからないが、お前はオレに惹かれたのだろう。オレも同じだ。しつこく呼び掛けるその声に、何故だかオレは応じようと歩き始めた。

 何の因果にも支えられていない、曖昧で危うい縁だ。

 けれどもそれで充分なのだと、オレは思っている。

 

 オレの姿がお前の前に現れて、お前は安心したような、何だか泣きそうな顔をする。

 

「オレを呼んだな!」

 

 オレは叫ぶ。

 

「呼んだ! もうめちゃくちゃ、呼んだ! おっそいわ!!!」

 

 お前も叫ぶ。

 

 クハハハッ、そう怒ってくれるな。

 オレも永らく待っていたのだ、凡庸で弱い人間よ。

 お前をマスターと呼べる、この時を。

 

 

 

 

 

続(続きはカルデアで! 爆)

 

久々に更新したと思ったら夢小説とか、ここの管理人はどうかしている。どうかしている。

要するにFGOエドモンが来ない自分とすべてのマスターに向けた応援歌ですね。作中で言ってる通り監獄塔未プレイ&未召喚でほぼほぼエドモン知らないのでキャラ崩壊してたらってかしてると思いますごめんなさい。

召喚、頑張りましょ……!

 

 

誰もいない場所に

さっそく更新が滞っていた。はてなブログから「更新せんのか」という旨のメールが数日前に来てごめんなさいと思った。

 

ディストピアが好きだ。たぶんディストピアの意味わかっていなかったりするけど、それでも好きだ。

人気(ひとけ)がなくて、なんだか大きくてきれいでシンプルな建物がたくさん並んでいる場所が好きだ。

世界なんか終わっちまえと思うことが誰しも一度はあると思ってるんだけど(一度も思っていない人は単純にうらやましい)、なんかもう、前後の脈絡なんか一切なしに、唐突に人類いなくなってほしい。

少女終末旅行」というコンテンツがあった。アニメの最終回を観た後に漫画の最終回も訪れて読んだ。最終回はそれこそいろんな気持ちが生まれたけど、それまでの道のりはとにかくなんだか、ほっとした。そう、ほっとしたんだよな。

夜の深い時間に、とりわけ関係を深めなくてもいい(あるいはもう深まり過ぎていてこれ以上の発展を必要としない)人と二人きり。交わすのは他愛もない会話。場所は生活感にも色彩にも乏しい巨大な終末都市。

そこは距離を考えなくてもいい場所だと思う。極端にスケールが異なっていると、私たちはたぶんいちいち色んなもののそれぞれの距離をはかることをやめる。馬鹿らしくなるから。どうせそんなことをしても終わりは来るし、あまりにも大きすぎて自分にはどうしようもないから。

色んなものが機能していて、終わりは遠くて、まだまだ改善出来てしまうって言うのは、ある種恐ろしいことだ。距離をはかるのもよりよくするためだし、それには神経を使う。わたしたちは知らず体のどこかに力を込めてしまうし、凝り固まる痛みに眉をひそめざるを得ない。

疲れちゃうよな。

私を知っている何人かの人は「だろうね」って笑うかも知れないけど、私は他人との距離の取り方が全然分からない。

突然目の前の人がとても愛しいもののように思えたり、自分と親しいもののように見えることがあって、相手がぎょっとするような距離感でものを言ってしまったりする。そのまま気づかずにいたら楽だけど、変に臆病だから、後になってから大体気づく。そんで、あの人は私のこと親しくもない他人だと思っているのになと冷静になって、むなしくなって、もはや泣けてくる。

だから結局どうしたらいいのか分からなくなって、たぶん壁を作っている。それで、誰かと親しくすることが難しくなる。そんな気がする。

私を親しく思ってくれる人なんて今のこの世界に何人いるんだろうって思ったら、もう、消えたって大差ないなと思う。

人数じゃないけどね。一人いてくれたら、たぶんそれでいいんだけど。

それに他人がいると評価が生まれる。それもめっちゃしんどい。私のことを私しか評価しない世界は楽だ。空しいけど。でも滅亡して極端に人間が少なくてしょうがないから一人なんだって思えたら納得できるだろう。改善できた可能性、があるのがしんどいんだもの。誰かがいたら、あの人と仲良くできたらよかったのに、とか、私がもっとこうだったら選べた、選んでもらえたかも知れないのに、とか。結局他人がいると絶対に傷つけたり傷つけられたりする可能性が生まれる、だから嫌だ。

シンプルできれいで大きな建物っていうのは私の他の嗜好も入ってるだろうけど、色んな意味で少女終末旅行の世界はほっとした。でも、もしその世界に私が入れたとして、私の隣には誰もいないんだろうな。自分でそれを選ぶ気がする。嬉しそうな顔で「しょうがないから一人なんだ」って言いながら。

私は人間嫌いだとかかっこいいことは言えない。人間を嫌いになりたくないからそばにいたくないのかな。他人に受け入れてもらえない現実に直面するのが嫌だからそばにいたくないのかな。

 

でも結局私が今生きている世の中にはまだ何億人、何十億人もの人がいて、仲良くなりたいと思えてしまう人が今見渡すだけでも何人もいる。どうせ仲良くなったら皆私のこともういいやって思ったり、嫌いになっちゃったりするんだろうけど、とにかく有り余るほどのより良くできる、広げられる可能性があって、あーあって思う。努力しなきゃいけないんだなあ、って途方に暮れる。努力出来る環境だから。出来るのにしないっていうのは許してもらえないし、自分自身いつか許せなくなることだろうから。

でもねえ、とにかく、今私とおしゃべりしてくれたり、お話を聞いてくれたりする人のこと、結局私は大好きだなって思いますよ。文字通り、本当に、有難いことだなって思うから。

 

誰もいない場所に行きたい。でも今はまだ行けないから、そこに連れていきたいと思えるような人を、とりあえず、何とかして、増やしていこうと、思う。

 

 

掌編「なりたかった」

気の抜けたような肌寒さのなか、子どもが1人でブランコを漕いでいる。

もう18時も30分を回っていた。いよいよ居合わせた大人の感覚が問われだす時間帯だ。
イルミネーションなんてお呼びでない、2、3の遊具とベンチがあるばかりの公園で、俺とあの子の2人きり。
参ったなぁ。何となく家に帰りたくなくてスマホゲームを始めたのが1時間前。その頃はまだ風景の一部だった子供の様子も、今は何だかそれなりに大それた問題として固有の存在感を帯びている。

……。
声をかけないなら今だ。今帰るしかない。
ただゲームがまだ途中なので、この場面が終わってからにしよう。
手の中に収まる出来事を素早く進めていると、じゃり、とすぐ近くで足音がした。

顔を上げると、信じたくないくらいどうしようもない無表情の子どもが立っていた。

「おじさん1人なの」

おじ……、と口の中で思わず繰り返しながら、感情が全く追いついていないまま「うん、見ての通り」と返す。

ふうん、と子どもはほとんど吐息に近い相槌をうって、そのまま腰を屈めた。

「見てていい」

いちいち語尾が下がっていて「?」の印象が弱いというかほぼないので、質問だと認識するまでに時間がかかる。
ぎゃーたすけてーと内心叫びながら、「うん」とまた口が先に言う。

場面が終わってしまったが、そのままゲームを終えたら何が始まるのか恐ろしくてならないので、素早く次の場面を始めた。

そうやって、しばらく、子どもに見張られながらゲームをする俺、という謎に包まれた状況が続いた。

ちら、と子どもを見やる。なんだか年恰好に相応しくないくらいに優美な目元をしていて、伏せた瞼を飾るまつ毛は長い。その下から、特に興味があるようでもなく、かといって全くどうでもいいわけでは無さそうな、妙に大人びた視線を放っていた。
脆くて不安定、なのに以外と攻撃性のある子ども特有の雰囲気が全く感じられない。まるでちゃんとした大人みたいだ。どのようなことも、ひとまずしっかり受け止める、というような。
となると、なんだか不思議に俺にも余裕のようなものが出てきた。他人と関わることが不得手な俺がどんな粗相をしでかそうが、こいつにはなんの関係もない。多分そういう類の安堵だ。
「ゲーム好きなの?」
子どもは目を動かさない。
「わからない」
わからないか……とばつが悪い気分になる。調子に乗って聞かなければよかった。確かこういうのはクローズドクエスチョンというのだ。答えは得やすいが発展しにくい。
しかし子どもは言葉を続けた。
「やったことないから」
子どもは上体を起こして、ブランコの周りの低い囲いに体を預けた。
「やったことない、んだ」
意外そうな声を上げると、子どもはどこを見ているのか分からない目をして頷いた。
「やってみる?」
「いい」
「そう……」
ぴゅう、と身をすくめたくなるような冷たい風が吹いた。だんだん寒さが芯を持ち始めてきている。
「……家に帰らないの?」
「帰ってもいいけど」
「……けど……?」
躊躇いつつも先を促してみると、子どもは視線を落とした。
そのまま、時が止まったようにお互い固まった。
聞こえなかったのかな。というのはこの距離でさすがにあり得ないので、無視だな。
悲しさと気まずさに携帯を再度触りかけたところで、声が聞こえた。
「帰ったら1人だから、ここで2人の方がいいかなって」
何だか呆気に取られた。
「どっちが?」
俺か。
「どっちも」
お前もかよ。
何だか笑ってしまった。
笑いを含んだ声でそうだな、と呟くと、子どもが俺を見た。ちら、と動揺みたいなものが瞳に映る。
「だって今日、クリスマスだもんな」
子どもは視線をふいと外して、頷く。
「サンタはいい子のところにしか来ないっていうの、嫌いなんだ」
俺は目を丸くした。そんなことを気にするような人間には見えなかった。もっと、成熟しているというか。
ああ、成熟している、ふりをしているだけか。
「来なかったの?」
「ずっと来てない。ていうか、ああいうのって運じゃん。お父さんやお母さんの性格の問題じゃん」
「あー……」
話のスタートがもういきなりそこな訳ね。
「まぁな。そもそも変だよなぁ。本当は何でもない日のはずだったんだよ。なのに1人でいちゃダメだとか、ケーキやプレゼントがないと可哀想だとか」
「うん。なんか、そうじゃないと悪いみたいな」
子どもはさっきより力を込めて頷いた。
「あのね。俺はね、本当は俺とは関係のない人の家で育ったんだけど、そこには俺みたいな子が他に何人もいて。クリスマスの日は、何もなくて、それが普通だった」
そうなんだ、と子どもが目を瞬いた。少し哀れむような顔つきに、俺は違うんだよと手を振る。
「いいところだったよ。お祝い事には疎かったけど、大事にしてくれた」
けどなんかこう……、と首をかしげる
「わかる。運なんだよな、って思っちゃうよな。クリスマスとかいう、こういうイベントの時は。お祝いしてくれる人に出会えたかとか、そういう家に生まれられたかとか。そういうのを試す日な気がして、好きじゃない」
「だから家に帰らないの?」
「だからっていうより、でも、かな。『でも』家に帰らない」
息が白く映えて、もうすっかり夜になっていることを意識した。子どもは寒くないだろうか、と心配になる。見た所コートも手袋もマフラーもきちんとしているし、大丈夫なように見えるけれど。
座りなよ、と隣を叩く。子どもは少し迷ってから、子どもの手のひら1つ分くらい離れて腰掛けた。
「家に帰ったら、クリスマスなことなんて忘れられるんだ。でも、ちょっと見渡せばイルミネーションがあって、付き合っている人たちが嬉しそうに出歩く外にいる。それは多分、俺もちょっとはクリスマス……っていうかこういう、浮かれた楽しそうな雰囲気を感じたいって思ってるからなんだ」
「ふうん。変わってるね」
「君はどうなの?」
「別に。何となく1人になりたくないだけ。……嫌じゃないんだ? 自分はその中には入れないのに」
「そうだなぁ……。逆に、絶対に入れないからこそ、見るだけは見てたいっていうか」
指先を擦り合わせながら言葉を探す。
何だろうな。毎年味わうこの気持ちは、なんだろう。
「……俺はね、多分、サンタにはなれない人間なんだよ」
子どもは表情を曇らせた。
「ずっと他人を避けてきた。家族も子どもも作らないし、誰かと深く関わり続けられる気もしない。サンタは、愛する人のために頑張る生き物だ。僕にはそれになる資格がない」
寂れた公園の景色が、揺らいで少し鮮明になった。鼻がつんとする。何やってんだろうかなぁ、と、思う。この先もう会うことはないだろう子どもに、クリスマスの夜、悲しい本音を話している。どうかしてる。内容のどれをとっても、バイトの先輩に話すほうがまだましなことばかりだ。
もう俺今日は黙っていようと心に決めたとき、子どもが口を開いた。
「おじさんの言ってること、難しくて、多分全部は分かってないんだけど」
「あっ、ごめんな」
「そんなすごいことじゃないと思うよ。ほんとは。もっと、簡単に出来ちゃうことなんだと思う。大事なのって、やりたいって思うかどうかなんじゃないの」
眉をひそめて考え込むような横顔に、俺はあっけに取られる。
「簡単に?」
「うん。もっと皆わがままだし、自分のためにやってるよ。去年クラスの女の子が好きな男の子の家に夜入ってプレゼント置こうしてすごく怒られてたし、昔幼稚園に全然関係ない大学生のお兄さんがサンタですとかって来たことあったし。たぶんあれバイトだし」
「……君何年生?」
「小4」
その時点でこんなに大人の世界知ってんのか。やっぱ子ども怖いな。
「そうだなぁ。案外みんな、気まぐれに、無責任にサンタになってんのかなぁ」
「うん。ふらっと」
へぇー。
世の中、そんなもんか。
思わず笑みがこぼれた。
俺って俺が思ってる以上に馬鹿だったんだなぁ。こんな、小学生でも知ってるようなこと、知らずに二十なん年。
いや、ほんとはこいつみたいな若い人間が知るべきじゃないんだ。でも知らざるを得なかっただけで。
もっと、夢を見たってよかったはずなのに。
あ、それは俺も同じか。
運なんだよなぁ、結局。
笑い声を上げていると、子どももほんの少し唇を緩めていた。
ふと、あることが頭をかすめる。
俺は子どもの顔を覗き込むようにして言った。
「なあ、お前、もう家に帰りな。送ってやるから」
子どもは俺を見つめた。数秒ののちに、頷く。

たわいもない話をしながら、住宅街を歩いた。公園から5分くらいのところに、子どもの家はあった。周りより大きな立派な家だ。こんな家でも、クリスマスがなかったりする。それは別に、責められるようなことではなく。
電気の付いていない玄関に立って、子どもはドアに鍵を差し込んだ。

「じゃあ」
「うん。良いお年を」
首を傾げて言うと、子どもは唇を緩めて頷いた。
ドアが閉まる。軽い足音が遠ざかる。瞬間、俺は駆け出した。

インターホンを押してしばらくするとドアが開いて、隙間から子どもが訝しげに顔を出した。
「どうしたの」
「さっきぶり」
笑ってみせたはいいものの、どう切り出せばいいのか分からない。
「おじさんって不審者だったの?」
「ちが! ……うよ! そう、それが、さっき俺が不審者に会って……」
ああ、もういい。喋れば喋るだけボロが出そうだ。
俺は鞄から包みを取り出して、子どもに差し出した。
子どもは目を丸く見開いた。
何故ってそれは、その包みが赤と緑のきらきらしたデザインで。
いかにも、クリスマスプレゼント、だったからだ。
「1人でブランコをこいでた子に渡し忘れたっていうから、君のことだと、思って」
一貫性がまるでないな、と恥ずかしくて、汗が吹き出てくる。サンタのことをこの子どもは知っているのに、でも、俺から、なんて渡せない。どうしても。
子どもは、まじまじと包みを見つめた。
「……その人は、赤い服を着てた?」
「え? あ、ああ、うん。確か」
「そう……」
子どもは、大切そうに包みを抱えた。
そして言った。
「実はさっき渡されたんだ」
「えっ!?」
子どもは、ポケットから小さな包みを出した。
「1人で携帯ゲームしてた大人の人にって。走ってて追いつけないから、君が渡してってさ」
目を白黒させながら受け取ってみてから気づくと、随分包み方がへたくそで、中身はおそらくお菓子だった。
ああ。
こいつ、全部分かってたんだ……。
走ってたのもバレてるし……、と座り込みそうになった時に、信じられないくらい優しい声で子どもが言った。
「ずっと渡しそびれてたから、ごめんねって言ってたよ」
視界が揺らいだ。
嘘だよ、って思った瞬間、目元を覆った。
「お前が謝ることじゃないじゃん……」
「伝言だよ。代わりに言ってあげただけ」
包みを抱えた子どもが満足そうに言う。
泣きながら俺は聞いた。
「嬉しい? プレゼントがもらえて」
子どもは大きく頷いた。
「うん。めちゃくちゃうれしい。おじさんは?」
「死ぬほどうれしい」
子どもは、はっきりと笑顔だと分かる表情を見せた。それはとても年相応で、輝いていて俺はまた涙が止まらなくなりそうだったから、足を半歩引いた。
「じゃあ、俺、帰るな」
「うん。ねえおじさん、こんなうれしいこと、毎年待ってたら疲れちゃうけど」
子どもは優しい目をして、首を少し傾げた。
「たまにあって、ラッキーだったなって思うくらいなら、いいよね」
うん、と頷いた。何度も。
外に出ると、車のドアが閉まる音がした。綺麗な女の人が歩いてくる。俺は軽く会釈をして、早足で離れた。
後方で慌てた声がする。
「ちょっと、大丈夫だった? あの人は誰?」
子どもが笑いを含んだ声で返事をする。
「大丈夫だよ。あの人はただの、サンタさん」
イブの夜なんかとっくに過ぎてるけどなと、偶然サンタになれた、ならせてもらえた俺は笑う。
たぶん史上最年少のサンタなんじゃないか、あいつ。いや違うか。去年サンタになろうとした女の子がいたんだっけ。
何だか笑いが止まらなくて、俺は小さなサンタにもらった飴を口に入れた。

宇宙の果てまで行けるかなあ

はい。
というわけで、宝石の国なるとんでもないアニメがひとまず終わってしまったので、これを機会に漫画の宝石の国について語りたいだけ語ろうと思います。いつにも増して需要がなさそうな記事である。でもね、このブログは目的が供給だから。供給のための供給だから。

 

これ8巻までのネタバレぎゃんぎゃん流れてくので、ご了承くだされ。本誌は追えておりません。

 

うん、じゃあ順々に。
まずね。ゴーストクォーツとの出会い。これは外せない。と言いつつ、この辺友達の家でお喋りしながら読んでたので実はゴーストクォーツ自身の記憶はあんまりない。ごめんなさいゴーストさん。いや、出てきたタイミングが微妙だったのよ。なんせシンシャが「組むだけなら 別に……」なんて言うじゃない!? だから短絡的な私は「きゃ〜〜組むのかな〜〜ようやく付き合えるねっ❤︎(バカ恋愛脳)」なんて思っちゃってたもんだから、ゴーストさんのことは「なんだこの間子ちゃんは! フォスはシンシャと組まなきゃいけないってのに!」とか色々考えてるうちに……剥がれて、しまって……。
あとね、私読み進めるにあたって、ここで重大なミスを犯していて。フォスシンを貪欲に求めながら4巻を読んで次5巻を手に取るはずが何故か6巻を開いてしまったのだ。したらね、最初ってキャラ紹介のページじゃないですか。あの紹介文めっちゃツボ。じゃなくて。そこにゴーストさんじゃなくてなんか白い服の人がいて。えっア……カンゴーム??? 誰? てなってキャラ紹介のところに「ゴーストの時から本が好き。」
…………あ、そういえばゴーストって多層構造だったよネ……え? ゴーストっていなくなるの? あっ巻数間違えとる! というちょっとアレなところからカンゴームを知っちゃってて。
だからゴーストを知り切る前にカンゴームをチラ見してしまってたというか……うーん……ね……だからゴーストさんのことは……すみません自分でちゃんと買っておさらいしますね…ゆるして……という感じ。
でまぁゴーストとは壮絶な別れをしてしまうのだが、まーーゴーストの特異体質はマジで、はぁ〜。市川さんキャラメイク巧すぎる、としか言いようがない。

ゴーストクォーツの内側にいて、基本的には外に出ることを許されなくて。透明なゴーストに疎ましく思われながら彼を透かして外を、かつていたラピスラズリを、そして今のパートナーのフォスを見つめていた黒水晶。カンゴーム。カンゴームという名前は彼1人になってから、フォスの頼みで先生につけてもらった。
白粉を塗った彼は、残酷なくらいアンタークチサイトに似ている。
でもあれなんで髪も白くなっちゃったんだろうね? 爪は黒いんだけどね。髪にも白粉を塗ったの? それとも、髪の部分にだけゴーストの白っぽい水晶が残ったのかな。

 

何しか、彼がのちに私のハートを持っていくのである。
とにかくこいつずるいからもう。ほんと。
まず生れながらにして外界と直に関わり合うことが出来ないって何よ。しんどすぎるでしょ。別人格が体を動かしてて、自分は個の人格を持ってながらそれに従っている。
どんな気分だろう。
もちろん生れながらってのがポイントで、ゴーストは一緒にいるのが当然だったろうけど。でもどれだけ好きでも互いにストレスだわなぁ。まぁゴーストのカンゴームに対する好意<カンゴームのゴーストに対する好意って感じ微妙にあるけど。何でだろ。って考えた時に、カンゴームって実は絶対謙虚なタチだと思うんだよな。本質的に。時々勝手に動くけど。
だってそうじゃないと、何が何でも主導権握りたがるタイプだったらゴーストはあんなにゴーストでいられなかったよ。
いやね、フォスに怒ってた時は言うこと聞け! て感じだったけども。絆が出来てからは基本的にフォス優位ですからね。ラピス・ラズリの頭もあげちゃうし、月に来てよって言われたら行っちゃうし。
好きになっちゃった子の言うことは基本聞いちゃうタイプだと思う。身を尽くしタイプ。

カンゴームでもうめちゃくちゃ好きなシーンがまぁ2桁個くらいあるんだけど、感動的なので代表的なのが2つ。
フォスがゴーストをなくして滅入っててちょっとおかしくなっちゃった時の言葉。「どうしても辛い時は アンタークでもゴーストでも好きに呼べ」
これめっちゃ怒ってて手厳しかった時なんですけどね。狂ってもゴーストは帰ってこない。とか投げつけて厳し〜……って思った矢先にね。フォスがあんまり殊勝なもんだから。こんなことを言うのお前は。
結局優しい子だから……飴と鞭だよこんなの。多分こんなことを言えちゃうのも、ゴーストと一緒に持ってた優しさとか、表に出れなかった過去に由来して……ウッ。

 

あと。フォスが頭持ってかれてしまった後。いやーーこれはガチで衝撃的だった。主人公の顔、変わるん!!? てなる。もはやそれはフォスでは……な……、ない……のでは……。この時も本当に誇張表現なく頭を抱えましたな。
頭を接合した後、フォスは眠りに就く。死んだみたいに布を掛けられて、外は冬の景色になる。
どれくらい経ったんだろうなって思った矢先に冬眠の枕投げの風景、そのとばっちりが白い服を着た宝石に行く。枕を顔からとって怒るのはカンゴーム
「俺だけこれから働くんだぞ」
あええええカンゴーームその格好はあかーーん ごーむ

 

ちょっもうっえっ……あかん…
私はこういう対照的・反復的? 踏襲的? なのに弱い。

 

そしてカンゴームは、横たわるフォスの前に立ち、自分がこの服装になった言い訳みたいなことを口にして、そして、
「俺が冬の担当になって今年で百年だ」

 

このページ三回読み返して三回泣いた。

どこに泣いたのかは分からない。思い当たる節が多すぎる気もするし、そんなの1つもない気もする。
強いて挙げるならやっぱり百年という一言の重みかなぁ。さらにカンゴームは「また夜にな」と言う。毎朝毎晩来てるのかよ……いじらしい……ここでカンゴームとフォスの絆があまりにも深まっていたことが分かる。まぁそりゃ、ラピスの頭だからってのもあるだろうけど。それだけじゃないと思うんだよな。

 

色々あるけどね! もうたくさんある! フォスが窮地に陥りかけてやばかった時「あー思い出したあいついつもああいう、あーもうやだやだやだやだ」とか言ってばたーんて倒れちゃったり、夏眠用寝巻きで延々レッドベリルに遊ばれたり、もちろん口調も悪ガキっぽさというか今時のちょいナイーブな小学校高学年男子って感じがいい。

漫画のカンゴームも大好きだけど、早くカラフルで動いてて喋ってるカンゴームが観たいなぁ。悠木碧さんがいいなぁ!(しつこい) ゴーストと声は一緒かなぁ。一緒じゃないと微妙なシーンもあるし、一緒だと微妙なシーンもあるように思うな。


いかん。カンゴームだけで話が終わりそうだ。

 

メインストーリーがとんでもないことになっている。

やっぱストーリーの方での重大事件は
・フォス、頭部変更
・フォス、月へ行く
・フォス、先生の正体を知る、からの裏切り
この三点ですね〜! ジャンケンポン!

 

全然関係なくて笑ってしまうのだけど、私台本を書いていて。そこに「博士」と「アンドロイド」が出てくるんだけど。
あ、ちょっと関係なくなくなって来ましたね。
そう、ちょうど宝石の国書いてる時にリメイクを書いていてですね。まずこっちの博士と
宝石の先生が個人的にめっちゃ頭んなかで被っちゃって、「博士」って書くところを「先生」って書いちゃって。腕折れたジェードの「アーッ!!」て感じ。もう終わりだと思ったね。
いや、本筋はもう宝石の8巻なんか出るだいぶ前ってか一年以上前に書いてたから何とかなったんだけど。
しかもそこに宝石の国にも博士出てくるじゃない、一瞬だけど。ああああーって。もうああああーって。

しかも先生……あんたがアンドロイドだったのかよ……と……。どんだけええええ

 

まぁ、本当に、8巻を読んだ時の私の脳内はもうアニメ版の月人が乗ってる雲みたいな色合いで、涅槃寂静……て感じであった。

 

先生、ね〜。最初の違和感はやっぱり、先生が見た夢だった。
月人の動きはまるで、先生に救いを求めるようだなって思って、でもそれは間違いじゃなかったんだね。先生が「危ない」って言ってたのも気になるなぁ。

 

私はやっぱり先生を悪い人だとは思わないけど、月人サイドの事情が事情なんだよなぁ。
エクメアはどうしてもやはり憎みきれないし、セミは普通にいい奴だし……戦闘モードな見た目になったのにフォスをぎゅってして目うるうるさせるの反則だぜ……。

 

先生はどうして祈るのをやめてしまったんだろう。
故障、というけれど、絶対感情的な理由もあるんだと思う。
カンゴームが先生とは関係のないところで言う「祈り飽きた」という台詞が先生のシーンに被っていて、それは先生の機能にあまりにも類しているように思うし。
しかし……祈る機械ねぇ……いよいよ市川さんの脳みそを見させていただきたくなってくる。こんないちいち宝物じみた発想一体どうやって分泌してるんだ?
でも、飽きただけじゃあれだけのことされてまで拒む理由がない。「危ない」という台詞から推測するに、先生は人のために祈るという行為に関する何かしらを、許せない、んじゃないだろうかと思う。

 

まぁでも純粋に故障っぽさもあるんだよな……月から帰ってきたフォスが質問ぜめにした時の反応とか。でも自分に関することが言えない機能にも関わってる気がするし。

 

魂である月人の「無になりたい」という声は、なるほど人間の最終欲求かもなと思った。
今の私はもちろん、無になんかなりたくない。死にたくないし、まだ長いこと生きていたい。不老不死になりたいとすら思うかも。
でも、それが何百年、何千年と続いたらどうだろう。
疲れるだろうな。


先生が祈り飽きたのと同じように、月人たちも生き飽きてしまったんだろう。
だとしたって宝石攫うはまぁいいにしても粉砕して混ぜ合わせて月面に撒き散らすことないだろ!! そんな残酷だから祈ってくれる人もいないのよ!

 

無になる為には他者の祈りが必要。これもまた矛盾しているようで、理にかなっているような感じがするのが憎い。無になったら人との関わりなんて関係ないのにね。関係なくなる為に関係が必要だなんて、皮肉だね。でも納得出来てしまう気がするのは、やっぱりずっと長いこと続いてきた宗教的な考えがそれだけ偉大ってことなんだろうか。

 

なんかねー、最初は地球で宝石のキラキラを眺めていたと思ったらあれよあれよと月、そして宇宙規模、死の世界にまで話が及んでしまって。バーチャルリアリティで宇宙を旅して見ましょうで呆気に取られる感覚に似てる。はい地球を出発しました、〜これが銀河系です、はい銀河系も出ましょう、〜これが宇宙の果てです、みたいな。

 

私そんなに漫画読んでない方だと思うんだけど、ほんとにこの読書体験は鮮烈すぎたよ。

 

元は同じ人間で、その魂は見放しておきながら骨は大切にする、でも骨が傷つけられても頑として動きはしない先生の本音が今は気になって仕方ない。あと別れたフォスシンな……。実は起きてたアメシストの片割れも気になるし。てかパパラチアなんで攫ってきたーッ! じゃあルチルもちゃんと説得してつれてこんかいな! 9巻の頭でルチルが「すみません、支度に手間取ってしまって……」て慌ててやって来るのを願うしかないわ。あ、でも医者が抜けたら困るね……。
というか。フォスも危ういよな。先生裏切るって……それ残酷すぎて普通思いつかんぜ。肝心なことを忘れているよ。先生は確かにフォスたちを愛していたということ。違う生き物だからってそこは切り捨てるべきではない。まーーこれもどこまでフォスでどっからラピスなのかっつー話にね、なってくるよなぁ……。

まぁそれはフォスが欠ける毎の懸案事項ですけど、シンシャへの執着が残ってることで、あっフォスはまだフォスだな、って分かるよね。フォスシンに関しては途中から生きる理由が半分近くもしくはそれ以上が互いに依存してるからな……。

何にせよ、お前人情忘れすぎ! てシンシャにピシッと喝入れられて欲しい……。
でね! 他者からの祈りってんなら、機械ですらOKなんだから宝石でもいいんじゃないの!? 僕たちが先生を説得して、先生と一緒に祈ります! 無にしてあげるぜ安心しな! そして和平な! という訳には、いかんの!?

 

あー、もうホント、ジェットコースターの落ちる直前が延々と続いてる気分。頼むからはよ続刊出て……もうはよ終わって……精神に安寧をもたらして……。
私、面白すぎる漫画は早く終わって欲しいタイプの人間なんだなと思いました。気になって命が保たないから。

 

というわけで、漫画を読んだ私が宝石の国にジャンルっぽい名前をつけるなら「ニルヴァーナファンタジー」です! ニルヴァーナって、涅槃ね。極楽浄土……っていうと違うのか? 魂が得る本当の安寧? そういうのだったっけ。いかん、勉強しよ……。

 

あー。
私、死んだら宇宙に行けるかな。
無になれるかな。
祈るってことは、忘れないことだと思う。その人がいなくなっても、覚えていてくれる人がいる。その人がいたということがちゃんとした過去になる。そのことが確かになって初めて、安心して無になれるんだろうな。

 

いなくなってしまった人のことを、私はちゃんと祈っていよう。覚えていよう。私は機械じゃないからいつか腐ってなくなるけれど、せめてその日まで。

虹を虹たらしめるもの

眼鏡をかけようとして、視界の端に虹が映ったような気がしたことがある。
あ、これは眼の病気の話ではない。ただでさえ私は病気の予感に怯える種類の人間だけど、今回は大丈夫だ。
で、何だろうと思ってきちんと眼鏡をかけると、それは某呼びかける系緑茶のペットボトルだった。
あ、これは脳の病気の話ではない。ただでさえ(以下略)
うーんまぁ、病気ではなくとも脳の認識する機能とかは関係あるかなと思うけど。とにかくこの現象から私はある予測を立てた。他の人は分からないが、少なくとも私が「虹だ」と認識するとっかかりの色は、薄く明るい緑色なのではないかと。つまり視界のどこかに、ことに予測していなかった明るい緑色がさすと、私の脳は「あ、虹?」と認識するのでは、と。思い返せば玉虫だってベースは緑色である。

 

また、最近妙に緑色に縁がある。気がする。……緑と縁って字似てるな。
もともと私は暖色が好きで、寒色に位置する緑色を自ら身につけることはほとんどない。
のだが。
8月に出た舞台の、個人個人で色の異なる衣装の私の分が緑だったり、ふっと配られた飴が緑だったり。
なんだろう、人からみて私って緑が似合うように見えるのだろうか。あんまり好きな色じゃないから悲しい、なんて思っていた。

 

けれども、最近少し考えが変わってきた。先に書いた虹の件でもそうだし、観ると呼吸困難になる作品「宝石の国」の主人公フォスフォフィライトも優しい薄緑、薄荷色というやつだ。
そう、宝石の国ねー。今日? 昨日? 最終回だったよぉ〜。すごい好きになってしまった。今日の記事は半分くらい宝石の国の話をします。〜8巻のネタバレはしない方。する方も……、今日のうちに上げるかも。

 

ともかく、緑は私にとって、案外身の丈にあったものでもあり、程遠い虹への架け橋でもあるんじゃないかと、そんなことを少し考えたりする今日この頃である。
でもやっぱり、身につけようとはあんまり思えないんだなぁ。フォスフォフィライト推し! という意味をつければもちろん手に入れたいけど。

 

さて、では以降主に宝石の国、感想パートです。と言いつつ、タイトルの「虹」にもかかってきたりしそう。
虹、というのは、私の中では時折「夢」という意味を持つ。寝るときに見るやつというより、ああなりたいなぁとかの方の夢。理由はきちんと言えるか分からないけど、そこはニュアンスでというゴミのような一言で割愛します。

 

ツイッターで流行っていた診断で、宝石の国のキャラクター診断というものがあった。いくつかの質問に答えたら、あなたのタイプはこの宝石です、と示してくれる。
やってみた結果、私はフォスフォフィライトだった。
その時はふ〜んとしか思わなかったけれど、今となっては何というかかなり納得できてしまう。
というか、何だろうなぁ、ぼんやりとでも夢がある人は結構フォスフォフィライトの根幹に共鳴しちゃうんじゃないかなぁ。
フォスは最初、誰よりも弱くて不器用だけれど、誰よりも明るく自信満々に振る舞い、そして、ずっと何かに不満を抱いている。その不満というのが、やっぱりこうなりたい、ああなりたいっていう願望をふくんでいる。
やがて、フォスは変わっていく。目に見えて変わっていく。薄荷色に輝く足を失い、腕を失い、そこを別の何かで埋めていく。

 

作中ではさらーっと流れていくんだけど、あの、とても胸が痛んだ。フォスをフォスたらしめるものが無くなっていく。別の何かに変わっていく。代わりに彼は強くなった。明らかに境遇はよくなっていった、ように見える。
これは変化と存在意義の話でもあるのかも知れない。何かを手に入れるためには、何かを失わなければならない。それが変わるということ。
私も、変わらなければならないと思うことはいくつもある。変わらなければと思った領域で実際望み通り変えられたことはいくつもないが、振り返ってみれば、ああ、こういうところ、変わったんだろうな、と思えるところはある。
そういう所が多分フォスでいう貝殻の足であり、合金の腕なんじゃないだろうか。
彼らは失くした分の体だけ記憶や感情を失う。心が体であり、体が心である、という宝石たちの体の仕組みは、本当によく出来ていると思う。

本来の自分じゃ得られないから、変わってーー失くして、別のもので補って、自分じゃなくなって、得る。そんな風に変わってしまった私は、まだ私と言えるだろうか。時々はっとして、そんなことを思いながら、
でもそれを成長と呼んで、私たちは生きている。


宝石の国の作者である市川春子さんは以前、私の作品には人間ではないものばかり出てくるけれど、それらによって私が描きたいのはいつも人間だ、というようなことを言っていたらしい。
よりよく理解するために、形が人間ではないものを用いることは効果的だと思う。客観視しやすいし、受け入れやすい。それがぎょっとするような行動をしても「まぁこいつ私と違う生き物だからな」と割り切れるし、何かに感情を揺さぶられていたとしても「ふーん、そんな風に思うのか」と納得できる。
これが具体的な人間だったら、「いやこの年の人この状況でそんなこと絶対せんし! 思わんし!」とか、下手に自分と同じ生き物なだけに先入観にめっちゃ邪魔されると思う。
で、最後まで見たとき、あるいは大事な場面の前後で気づくのだ。「あれ? もしかしてこれって人間と同じなんじゃ……」
フォスの、決して死なない宝石ならではと思えるどこか破滅的な行動も、実はとても人間らしい。
私たちは変わりたいと思っている時、新たに得たいと思っているものにばかり気を取られて、もともと自分が持っているもの、特に新しいものを代わりに嵌めたいと思っている部分には随分無頓着じゃないだろうか。
冷静さを欲しがっている時は興奮しやすさを要らないと思っているし、痩せた体になりたいと思っている時は太った体などどこかにやってもいいと思っている。
そういうことを、フォスはあくまで自然に、無意識に近いレベルで体現している。体を失うに至った経緯は一見事故じみているけど、例えばボルツなら海の深い部分に勝手に入ったりしないだろうし、流氷の言葉に惹きつけられたりもしない。

 

 

 

しかし、私はアニメを先に観てなんじゃこりゃ! と釘付けになっていたところ友人の漫画を8巻まで借りてズブズブになっているところなんだけど。(下に行くにつれこの記事は支離滅裂かつ身もふたもないことになってゆくよ)漫画は次の記事でちゃんと書く。とりあえずアニメー。
たしか、7話放映の時点までちゃんと観てなかったんだよな。1話だけ観てた。まず放映2ヶ月くらい前の予告だけ観てこーりゃデカいコンテンツ来たなとは思ったんだけど、1話の迫力がとんでもなくて怖気付いて少女終末旅行ばっか観てた(これもまた良くて)。
しかしまぁ、本当にむごい。ここまでドンピシャあってええんかぁぁと喉を掻きむしってしまうよ。
まず宝石たちのコンテンツ力がすごい。容姿端麗、華やかな髪と目の色、CGアニメ苦手だったんだけどこれは宝石の輝き出すために使って正解だし所々普通のアニメ(相応しい単語を知らない無知さ)ぽくしてるからちょうど見やすい。
そんでもって性別がない。一人称が大半「僕」と来てる。んで言葉遣いも少女とも少年ともつかない感じでまた……「あら」とか「かしら」とかちょっと平成末期にはレトロっぽい感じでまた……たまらん。

めっちゃかわい〜〜くて『ちゃお』とか読んでそうな見た目のダイヤモンドが「僕」って言った時私の中で何かが始まった。
友人から教わった知識として上半身が少年、下半身が少女ということらしい、ヒップとかがなかなかどきどきする妖艶さなんだけどそこを「えろい」とか低俗な言葉を発させない品位で突き通すのがまた素晴らしい。


そんでね! 硬度ね! かつ靭性ね! からの特異体質ね! も〜〜勘弁してくれ!!
フォスは硬度がかなり低い三半で、ミスターヒロイン(どっちだ。どっちでもない。それがいい)シンシャとアンタークちんがそれを下回る。で、ダイヤ属がもちろんかなりの硬度を誇るんだけど、ここで靭性というのがものをいう。 ダイヤとボルツ、同じダイヤモンドなんだけど靭性がボルツのが高い(高いというので正解なのかな)。とかでダイヤさんがあんな風に病む羽目に。
そういえばダイヤさんがフォスのために奔走する回があって、何でダイヤだけこんなにしてくれるんだろ? て疑問に思ってたんだけど、もしかしたら彼はフォスが自分と同じだと思ったのかもしれないな。他の人、あるいは特定の誰かより圧倒的に劣っているだろう自分の価値を疑う者として。
今アニメで取り上げられてる特異体質のうち2つは、会える期間に制限があるもの。これが1番きついよなぁ何だかんだ。読者としては。
アンタークちんは皆とお話ししたことあったんだろうか。名前出したりはしてた気がするけど。寂しいなぁ。いなくなっちゃってからの、フォスのポップでネガティブな幻覚によるネガティブキャンペーンが最早可哀想の域だ。笑
パパラチア……パパラチア……声……かっこよすぎたね。あれは幾ら何でも……ずるいね。朴ろ美さん真骨頂惜しみなく発揮しすぎじゃん……。
彼奴によりルチルがいきなり五億倍くらい美しく艶くなってしまうのは大罪。パパラチアが倒れて布をかける時の「そうですか……」がとんでもなかった。忘れたくない声だった。

そんで、シンシャは体から水銀が出る体質のせいで一人ぼっち。でも情にはアツイ。愛い奴め。たぶん結構ロマンチストだよね。実は。もう大体フォスのことしか考えてないよね。二色揃ってクリスマスカラーだね。
漫画だとアニメ放映範囲で2回赤面してるはずなんだけど、1話目の「見られたくない……」のあたり赤面してないよね! だから12話の「お前、そう言ったろ」のあたりどうなんだろと思ってたら、あらまー!!! 出血大サービス!!! もう頭抱えたよね。まぁ欲を言えば、ちょっと上から載せたっぽくなってたから、もっと内側から透けるような紅潮にすると尚をかしだったかもだね。(どこ目線)
だから、ひょっとするとシンシャは赤面症なのかな、なんて思ったりもした。ひえー。どうにかしちゃいたい。

ていうかね、宝石の国は、世界観とかストーリーはもちろんなんだけど、宝石同士の関係性がやっぱどうにも惹かれてしょうがない。やっぱどう客観視しようとしてもルチルとパパラチア、フォスとシンシャの関係には恋愛感情が見えるけど、奴ら性別ないのよ。でも恋してんのよ。それは恋と言えるのか? でもやっぱ恋に似てるよね? じゃあ愛ってやつ? とか考え出すともうスペーシーなことになってくる。市川さんはえぐい。性別も関係ないものたちの恋愛のようなものを描き出すことによって、恋って性別由来なのか生物由来なのか切り出そうとしてる。気がする。
ボルツとダイヤは……私はなんかやっぱ兄弟愛(の相当こじれたやつ)なのかなーって思ってたけど、わからない。可能性はあり。イエローダイヤモンドもダイヤだけどあそこは我関せずだよね。鉱物的に遠縁なのかしら? 学がないから分からん。
……まぁまぁ、こういう点でもこの作品はかなり美味しい。

いやまぁアニメだと、アクションが分かりやすくていい。音楽もつくし。シンシャのテーマみたいになってるピアノの切ないやつと、月人来襲ん時の仏教音楽(語彙)みたいのが好き。

そんでやっぱ声の演技の存在は大きい! 命を吹き込むとはよく言ったものです。黒沢ともよさんのいい感じに力抜いた演技好きだなぁ。あれは棒読みじゃないよね。ただならぬ雰囲気がにじみ出る「脱力」「無機質」というれっきとした演技だ。シンシャもいい〜。予告で何度も繰り返し聴いたもん。漫画を先に読んでた12話の「お前そう言ったろ」は解釈の一致でしかなくて「分かってんな〜!」てなった。

釘宮さんはまじ……あの人何者なの? え、いた?ってなったよ、最初。そんな声出せたんかーい! てなる。

あとルチル結構好きなんだよなぁー。知らない方なんだけど。私あんまり声優さん知らないからな。

ただ、悠木碧さんが好きで、あの方演技演技してない演技もかなり得意だと思うから、ぜひ二期は出て欲しい。あの黒い子の声で……()

 

アニメオリジナル演出(と思しき)もやびゃかったなぁ。

「可愛い! 凛々しい!」なフォスがまた観れるとは……ウッ……て感じだったし。

あと! 「組むだけなら 別に……」ってシンシャが呟いた時、原作ではフォス振り返ってなかった気がするんだ! というか、フォスに伝わっていたのかどうか分からないまま終わっていたと思うんだ……。ここで原作と進路変わったりするんだろうか? そんなことないよね? 多分両者公認で組んだとしても、とりあえずは個別で動いて、時々報告って感じなんだよね、多分。アニメではがっつり一緒に行動するようになりますとかだったら卒倒してしまう。悪い意味とかじゃなくて、翻弄されすぎて。どうなっちゃうの〜ってワンちゃんネコちゃんみたいにお腹見せてしまう。

 

 

……というわけで、ヴィレヴァンのポップで「アクションファンタジー!」て書いてあったんだけど、確かにアニメの宝石の国第一期は、「アクションファンタジー」だ。二期は……ちょっと変わるんじゃないだろうか。漫画はえらいことになってます。
はやく二期決定してね。干からびてしまうよ。

 

宝石の国二期という虹を、私は渇望しています。
二期と虹って、似てるよな……。(無理やり)

ここで新事実。私以外の人は、なんと……

私以外の人は、私と違う人だ。
当たり前だ。
ここ数年感じたりする絶望っぽい孤独さの発生源の輪郭が、私は最近ちょっと見えて来た気がする。
それは「違う」ということ。
何でもいい。この人とあの人でもいいし、性別でもいいし、趣味の違いでもいいし、難しそうな話をするなら価値観とかでもいい。とにかく、あ、違うなって思うこと、それが私を1人にしていると思う。
周りになんでこんなこと言うんだろう、こんなことするんだろうって思うようなことするアニマルとか人間がいる。これ、実はしょうがない。だって違うんだから。こういうことしていいとか、こういうこと言っていいとか、そういうラインが私とは違うんだから。そんでもって私も誰かから思われている。なんでこいつこんなことするんだろ、言うんだろって、軽蔑されたり恨まれたりすることが残念ながら間違いなくある。ごめんなさい。

 

「配慮」とか「理解」とかにも、違いは根強く絡んでくる。この人を理解して配慮しつつ支えたいとか思っても、まるっと理解するとか出来ないよ。だって過去が、事情が、育って来た環境が、感覚が、違うんだもの。だからふっと口から出た言葉が突然相手を傷つける。傷つけたな、と思った時には大抵遅い。傷つけた事にすら気づかない事だってままある。なんであの人突然自分から離れていったんだろ? って思ったりすることの原因の4割はこの辺の理由な気がする。単に環境が変わったりってことももちろんあるだろうし、気にしすぎは良くない。

あと、性も結構孤独なものだと思う。男と女っていう2つじゃない。最近はよく言われてると思うけどLGBTQとかって話だけじゃなくて、もっと細かい部分のこと。たとえば付き合ってる人がいたとして、その人とどこまで触れ合うか? 婚前交渉なんて言葉もう古いのかも知れないけど。それを選びたいかどうかとか。そういう部分も人によってまるで違うんじゃないかと、その違いって実は性別の違いと捉えたって差し支えないぐらい大きなものなんじゃないかと、思ったりする。というか、もうちょっと尊重されて然るべきだよ。付き合ってるから絶対そこまで行かなきゃいけないって誰が決めたんだろ。行かないと男が辛いから思いやりとか? いやいやじゃあ女の辛さはどうなんのー。その辺はお互い辛いから存分に話し合いましょうよー。そもそも「ほにゃららを高校までに捨てなきゃ妖精」とか、なんか女のこと考えてないよなって思ってしまう。それに付き合わされるの大体同年代の女の子だよね? リスクはゼロじゃないぜ? とか。まぁ違うから分かんないだろうけど! もちろん双方そこまで行きたいと思ってるんならそれはとても幸せなことだし、いいと思うのだ。違う、ということが確かなのと一緒くらい、同じ、ってことがあるのも、確か。

 

あと「あの人より私の方が辛いよ」という考え方にもちょっとモヤモヤする。あなたとあの人は違う人じゃないすかー。辛いと思うことは多分というか間違いなく違うよ? Aという出来事とBという出来事があったとして、あなたがAのほうが辛いと思うのにあの人はBのほうが辛いと思うこと、とても高い確率でありえるよ? 何を悲しいと感じるかってことが何によって決まるかって、そんなの正解が私ごときに分かる訳ないけど、例えば、小さい頃のある出来事だったり、もう名前も覚えてない誰かと交わした言葉が関わってたりするんじゃないかなぁ。要するにめっちゃ個人的。そんなの他の人が知ってる訳ないし、体験もできないから分かる訳ない。


辛さとか苦しみとか限界とかが人で全く違うってこと、めちゃくちゃ忘れがちだけど、絶対に胸に刻んどいたほうがいいと思う。こういう違いを意識せずに他人の感覚押し続けると、多分人は死ぬ。殺されてしまう。ああこんなに辛いのは自分がおかしいからなんだって思って、どうしようもなく孤独になる。いやいやおかしくないから、辛いと感じることはこの上なく正常だから。

 

正直、傷つくラインすら人によって違うんだって思った時が1番ぞっとしたし、絶望した。
だってそれって、私悲しいよって叫んだ時に、何それそんなことで悲しむなんておかしくない? って心の底から思われることがあるってことですよ。
それはめちゃくちゃつらい。つらいって叫ぶことすら認められないのは、すんごくつらい。
ある時、どんな時に「傷ついた、怒ったぞ」って言っていいのか心底分からなくなったけど、あんまり傷ついて涙が出て来た時があって、その時はもうこれ言っていいなと思って言った。まぁ多分向こうは「なんで傷ついてんだ?」とか思ったんじゃないかな。でもいい。こっちは伝えたから、そこから先は向こうに任せる。
自分の怒りが他の人にも認められるとは限らない。でも溜め込んだら、そこに居続けることは難しくなる。だから、自分で決めた一線(涙が出た時は言おう、的な)を越えたときは、迷わず伝えたほうがいい。
だって違う人だもの。心を読んでくれる訳じゃない。言わなきゃ伝わらない。言っても伝わらない時があるけど、その時は諦めてちょっと距離置いてみるなりなんなり。こちら側からの渾身の一擲を受け取れない相手は、そもそも関わらない方が正解な場合がございます。

 

違うってことは、たびたび嘘を呼ぶ。私はあなたと同じだっていう、嘘を呼ぶ。それは多分、生きていくために必要な嘘だ。
「本当の私なんて誰も好きになってくれないから」
私がいま傾倒してる劇団アマヤドリの「青いポスト」での一言。大好きだ。
そんな悲しいことないって言いたいけど、実際、そうだ。
じゃあ本当って何よってもなりそうだけど。本音を言ってるはずなのに言ってる途中で「あれ、これ本当に私の言いたいこと?」みたいな。嘘が本当になることもあるし本当が嘘になることもあるのが現状かも。ややっこしなぁー。

とにかく、違うのだ。私たちは一人一人違うし、さらに私の中でも違う要素が混在している。


でも違っても生きていかなきゃ、一緒にいなきゃいられないから、私たちは嘘をついたり、伝えたり、たまーにごくたまーに相手の一部を自分と同じに変えることに成功してほんのちょっと生きやすくなったりしながら、何とか毎日生きている。
だから、小学生みたいなこと書くけど、伝えるって本当に大事だ。気づいてもらうにも分かってもらうにも伝えなきゃ始まらない。

表現って大事だ。その方法に凝ることも大事だ。全く違う私たちに、ほんの少しだけ同じな部分を作るために、それを増やすために大事だ。

 

でも、面倒臭いもので、全部同じだと今度はつまらない。
違うからこそ私は全く違う他の人の作るものにドキドキするし、ワクワクもできる。感動ができる。それは私の人生を楽しくするために欠かせないことだ。

それに、皆おんなじだと、辛いことがあった時に再起不能だ。

私はこのタイプの辛いことには比較的強いっすよ! て人がいれば、その人は立ってられる。倒れてる人に手を差し伸べることも出来る。私はあなたの辛い気持ち全部分かる訳じゃないけど、あなたを助けたいよって言える。


残念ながら、全ての元凶である「違う」ということも、やっぱり大事みたいだ。

あーあ、なんじゃこりゃー。

アバウト ここ

はじめました。

SNSのアカウントを増やすのってたのしいな。無責任にどんどん増やしてこう。

本来私が1番自由に伝えられるのは文章だと思っていたのに、とんでもなく怠惰なので、放っておくとどんどん筆不精になる。ツイッターは140字までだしなあ。あれはあれで有効活用出来るならして、長い文章はここで書こうと思いました。せっかく書くなら誰かの暇の足しになる方がこっちとしても嬉しいし、何となくツイッターとつなげてみる。

ブログのサイトなら何でもいいやと思ったけど、はてなブログが大人っぽくて、アイコンが万年筆でかっこいいから選んだ。とんでもないミーハー。

多分夜のどうしようもない時間帯にしかこうしんしないだろうからこういうタイトルにした。

私としての用途は、考えたり思ったけどどうしようもないようなことをひたすら言葉にしてみるところ。 ジャンルとしては、あらゆる創作物、演劇(やってる? やってた? から)について。もしかしたら小説も上がるかも。うぎゃー 色々ごった煮ですよ なんせはてなブログのキャッチコピーも「言葉にしてみよう」だものな。 読んでくださる方(いるとすれば)としての用途は、寝そびれて暇で暇でどうしようもない時の暇つぶし、残念ながらそれ以上にはならない。すみませぬ。 考えたこととか、日記とか、そういうどうでもいいことで埋め尽くしたいなぁ、そういうところです。自己責任ブログだ。そちらに益はないぞ。 というわけで、はじめまして〜